【1.始めよう設計者CAE!】vol12. 設計者CAEステップアップに向けて

設計者CAEステップアップの必要性

設計者CAEが定着するに従い、設計者は自分で行った解析の計算精度を向上させたいと望むものです。
計算精度については、コラム第6号で言及したとおりモデル化誤差と数値計算誤差の2つの要素に分けることができますが、前者のモデル化誤差は実機の現象をいかに厳密に数値モデルに置き換えるかに依存します。設計者CAEは、基本的には線形解析から始めますのでモデル化誤差が大きくなるのは仕方がありません。現実の現象は非線形性要素を含む場合が多いからです。設計者が現実により近い解析を行うには、非線形解析にも取り組まなければなりません。

また産業界の動向として安全性第一、軽量化およびエコを目指した製品開発が主流になっている現在、CAEフロントローディングの推進およびそれを実現する設計者CAEの強化が早急に求められています。
このような環境において市場競争力を高めるには、余肉たっぷりの従来設計でなく、強度を確保しつつ余分な肉を削ぎ落とした理想体すなわち最適設計が必須になっています。そして最適設計を行うには、現実の現象をより正確に捉えたリアリスティックシミュレーションへとステップアップが求められます。

例えば静的な現象のみを対象とした静解析で設計していても、動的な挙動を最適化するには動解析の取組みへとステップアップが必要になります。構造解析だけでなく流体解析や熱解析そして磁場解析へと取組みはますます分野が広がっていきます。これらの設計者CAEステップアップを駆使して魅力品質向上に努めることにより市場競争力に優れた製品開発が可能になると考えます。

設計CAEと生技CAE

これまでのコラム各号では製品開発プロセスの製品設計フェーズでの設計者によるCAEに役立つ情報をご紹介してきました。この製品設計フェーズにおけるCAE適用を全般に「設計CAE」と呼ぶことがあります。
一方、ものづくり現場に密着した生産技術フェーズにおいてもCAE適用は以前から盛んに進められており、樹脂射出成形解析、プレス成形解析、弾性体アセンブリの公差解析、鋳造湯流れ解析、鍛造解析、複合材製造解析などがよく知られています。
この生産技術フェーズのCAE適用を「生技CAE」と呼び、簡易的な解析から高度な解析までこのフェーズに対応したソフトウェアが市販されています。

なおコラムでは、製品開発プロセスにおいて設計者自身が繰り返し行うCAEを「設計者CAE」と呼び、解析部門のCAEエキスパートが詳細に行うCAEを「専任者CAE」と名付けてきましたが、この呼び方はこの「生技CAE」の分野においても当てはまります。生技CAEにおいても設計者が行う設計者CAEはものづくり現場における加工品質の改善や最適な治具設計など生産性向上を目的として迅速かつ容易に行える解析が対象となり、一方CAEエキスパートが行う専任者CAEは金型の寿命予測や設備の安全性確保など高度な解析技術を要する詳細解析が中心になると考えます。
しかし生技CAEの分野では専任者が高度な解析を行うのが中心でした。

最近はプレス成形解析を迅速に行い板厚減少量やスプリングバックも計算でき、かつネスティングまで最適化して得られるツールが広まってきており、生技フェーズにおいても設計者CAEが始まりつつあります。いずれにしても「設計CAE」と「生技CAE」の両分野をコンカレントに実施しフロントローディングを図ることにより、製品設計および生技検討の手戻りを大きく減少させて製品開発期間の短縮やコスト削減が図れると考えます。

最後に

弊社では製品設計フェーズでの設計者CAEステップアップとして、流体解析や熱解析などを容易に行えるソフトウェアを取り扱っております。またものづくり現場のための設計者CAEとして、プレス成形解析や樹脂流動解析などの設計者でも使えるソフトウェアも取り扱っております。
設計者CAEステップアップおよび生技CAEにご興味をお持ちの方は、ぜひ弊社へお問い合わせいただきますようお願いします。

コラム「始めよう設計者CAE!」一覧

コンセプト編

  1. 設計者CAEの誕生とCAEフロントローディング推進
  2. 設計者CAEのメリット(設計者CAEと専任者CAEの違い)

テクニカル編

  1. 線形解析と非線形解析の違い
  2. フォン・ミーゼス応力の真意
  3. 特異点に気を付けよう
  4. 計算結果の精度を保つメッシュサイズの目安
  5. 仮想パーツの活用
  6. データマッピング
  7. ボリューム分割アドバンストメッシング
  8. 1次要素と2次要素の使い分け
  9. CAEテンプレートの活用
  10. 設計者CAEステップアップに向けて