【1.始めよう設計者CAE!】
CAEテンプレートは、筆者が10年ほど前にCATIAのパブリケーションを利用した解析モデリングの一手法として考案した仕組みです。当時はCATIA R12が展開された頃ですがCAEモデルへのパブリケーション適用には多くの制約がありました。その後リリースアップ毎に改善されて現在は安定期に入っていると感じています。
図1に示す通りCAEテンプレートは、部品形状を全く違うものに変えたり、アセンブリ構成部品の組合せを変えた場合に、最初と同じ解析条件で繰り返し計算するための効率的な解析モデル構築手法です。
CAEテンプレート活用のメリットは以下になります。
①解析モデル化のノウハウ蓄積(CAEエキスパートによるワークフロー組込み)②設計者がCAEノウハウを暗黙的に利用できる③画一的な計算結果を得られるため計算ミスを防止できる
一方デメリットとしては、CAEテンプレートを解析パターン毎に作成する必要があることです。したがってすべての解析パターンをCAEテンプレートの対象とするのではなく、設計者が日常ルーチンワークとして実施する解析パターンを選別してテンプレート化すべきと思います。
設計者が、設計プロセスの上流からCAEを頻繁に取り込み、魅力品質向上を目指した製品設計を推進するには、CAEの実践をルーチンワーク化する必要があります。設計者自身が、CAEで精度の高い計算結果を得るために時間を費やして、試行錯誤することは設計者の本来のミッションと異なると考えます。CAEエキスパートによって確立されたワークフローに沿って、短時間で正しくCAEを実践できるのであればルーチンワーク化は実現します。この実現手法の一つとしてCAEテンプレートがあります。CAEテンプレートは、図2に示すようにメッシングの対象となる形状モデル、解析条件および結合条件の設定対象となる幾何形状をパブリーケーションを施して汎用化することにより、構成を柔軟に変化させて繰り返し解析できる仕組みです。
図3にCAEテンプレートのデモ用サンプルモデルを示します。
CAEテンプレートにご興味をお持ちの方は、弊社にて随時開催の「設計者CAE無料体験セミナー」にぜひご参加ください。このセミナーの中で、CAEテンプレートの利用場面を体験できます。
弊社では、CAEテンプレート以外にもナレッジやマクロによる、プロセス自動化やCAAによる専用システム開発などルーチンワーク化推進の支援メニューを準備しております。特に、CAAによる設計者CAE専用システムの開発については、開発エンジニアとCAEエキスパートのコラボにより、最近いくつも大きな実績を上げております。この実績は、「Why ファソテック」の訴求ポイントの一つであると自負しております。
ぜひ設計者CAE推進にご興味をお持ちの方は、お気軽に弊社へお問い合わせください。
さて本連載コラムも次回で最終になりますので、次号では最近の動向を踏まえて設計者CAEステップアップについてお話します。
コンセプト編
1.設計者CAEの誕生とCAEフロントローディング推進2.設計者CAEのメリット(設計者CAEと専任者CAEの違い)
テクニカル編
3.線形解析と非線形解析の違い4.フォン・ミーゼス応力の真意5.特異点に気を付けよう6.計算結果の精度を保つメッシュサイズの目安7.仮想パーツの活用8.データマッピング9.ボリューム分割アドバンストメッシング10.1次要素と2次要素の使い分け11.CAEテンプレートの活用12.設計者CAEステップアップに向けて
株式会社ファソテック 技術顧問 CAEコンサルタント 藤田俊之
1974年 名古屋工業大学 機械工学科を卒業、川崎重工業に入社。10年間、化学プラントの耐震設計および航空機の強度・振動解析などの構造解析、さらに宇宙機器の開発に従事。1984年 日本アイ・ビー・エム入社。26年間にわたりCAEDS(I-DEASの別名)、CATIAアナリシスおよびSIMULIAなどのCAEツールを担当するSEおよびテクニカルセールスを歴任し、一貫してCAE技術畑を歩む。その後ダッソー・システムズを経て、2012年よりCAE推進をライフワークとするコンサルタントとしてファソテックに在籍し、現在に至る。
一覧へ戻る