【1.始めよう設計者CAE!】vol9. ボリューム分割アドバンストメッシング

CATIA便利機能の第3弾は、GSD(*1)のボリューム分割を利用した複雑な形状にも対応できるアドバンストメッシングについて紹介します。

CATIAアナリシスにおいて、1つのメッシュパーツにはマテリアルが1つのみ設定できます。したがって、異なる材質の部品をアセンブリして一体化した複合的な部品をモデル化する場合は、複数のメッシュパーツに分ける必要があります。CATIAでは複数のメッシュパーツに分ける方法として以下の2通りがあります。

① 材質の異なる部分毎にパーツに分けてアセンブリプロダクトとして解析する
② 材質の異なる部分を形状セットの中でボリュームに分けて、いくつかのボリュームで構成される
  1つのパーツとして解析する

①の方法はパーツボディの集まりになるので、個々にGPS(*2)の自動メッシングが使えて容易にメッシュ分割できるメリットがありますが、部品間の接合面に固定結合を定義する必要があるので、接合面が広範囲になると固定結合のキネマチックス自由度数が多くなり計算量が膨大になってしまい、時には計算できない場合もあります。
一方、②の方法はメッシュ分割の対象がパーツボディではなく形状セットになるのでGPSのメッシャーは使えなくなり、FMS(*3)およびFMD(*4)のアドバンストメッシング機能を使う必要があります。本号では②の方法についてサンプルを交えて特徴をお話しします。

まず1つのパーツをボリュームに分けるには、GSDワークベンチに移ってGSO(*5)を使ってボリューム分割操作を行います。GSOはGSDのオプションモジュールです。
1つのパーツボディを複数のボリュームに分割したら、個々のボリュームがアドバンストメッシングの対象となりそれぞれにメッシュパーツができます。マテリアルはメッシュパーツ毎に与えることができるため、複合的な材料を持つパーツを定義できます。図1に溶接部の応力解析用メッシュ分割例を示します。


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隅肉溶接で接合して一体化した完成部品を、形状設計して解析する例です。完成部品は溶接隅肉部と母材では材料特性が異なるので、ボリューム分割を行い個々にメッシュパーツを作ります。順次ボリュームをメッシュ分割するときに隣接面の節点を1点にマージして一体化したり、重複させて接触状態を設定することができます。さらに工夫すれば溶接溶け込み部分の状態をよりリアルに表現できると思います。

図2は複雑な幾何形状をヘキサメッシングするためにボリューム分割とスィープ3Dを駆使した例です。


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板厚が比較的薄い複雑な形状は、テトラメッシングを行うと板厚方向のメッシュ分割がグローバルスプリットを指定しても2層どまりなので、曲げ剛性を精度よく表現できません。また節点数が膨大になりますので、このような構造物はヘキサメッシシングの方が好ましい場合があります。この例では板厚方向を3層に分割しましたが、ヘキサ要素を用いて節点数の増大を抑えています。
以上のようにボリューム分割を施すことにより、異材質が組み合わされたパーツのモデル化や複雑な形状のヘキサメッシングが可能になります。

さらにCATIAアナリシスのアドバンストメッシングについて詳しくお知りになりたい方は、弊社開催の教育プログラムの受講をお勧めします。

さて3回にわたってCATIA便利機能についてご紹介してきましたが、次回からはテクニカルヒントへ話題を戻し、次号では1次要素と2次要素の使い分けについてお話します。


*1GSD(ジェネレーティブ・シェイプ・デザイン)
ワイヤーフレームおよびサーフェス形状を作成、高度なシェイプの設計を支援

*2GPS(ジェネレーティブ・パート・ストラクチャル・アナリシス)
設計プロセスのあらゆるフェーズにおけるコンポーネントの構造解析、モーダル解析に対応

*3FMS(FEMソリッド)
ソリッド設計に関連づけられたメッシュを生成する高度なオプション

*4FMD(FEMサーフェス)
複雑なサーフェスおよびワイヤフレームの高度なメッシュ機能を提供

*5GSO(ジェネレーティブ・シェイプ・オプティマイザー)
グローバル変形技術によってGSDのワイヤーフレームおよび複数サーフェス作成機能を拡張


コラム「始めよう設計者CAE!」一覧

コンセプト編

  1. 設計者CAEの誕生とCAEフロントローディング推進
  2. 設計者CAEのメリット(設計者CAEと専任者CAEの違い)

テクニカル編

  1. 線形解析と非線形解析の違い
  2. フォン・ミーゼス応力の真意
  3. 特異点に気を付けよう
  4. 計算結果の精度を保つメッシュサイズの目安
  5. 仮想パーツの活用
  6. データマッピング
  7. ボリューム分割アドバンストメッシング
  8. 1次要素と2次要素の使い分け
  9. CAEテンプレートの活用
  10. 設計者CAEステップアップに向けて