【3.構造最適化解析で3Dプリンタ造形革新]】

vol4. ビード補強最適化解析例

1.ビード補強最適化の特長

ビードの配置は面外荷重を受ける薄板構造物の曲げ剛性を高める効果があります。外荷重により生じる曲げモーメントを板厚の増加のみで賄うことは重量の極端な増加を伴ってしまいます。そこで板厚を増やさず断面2次モーメントを大きくする方法がビードによる補強です。
ビード補強最適化は与えられた荷重に対して変位を最小化するビードの効果的な配置パターンを出力します。
図1に中央に集中圧力を受ける平板のビード補強最適化解析例を示します。図2に示すようにビードが最適配置された形状では変位や応力の大胆な低減が図られています。

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2.ビード補強最適化解析の手順

前号と同様に薄板でできたブラケットをサンプルモデルとしてビード補強最適化解析の手順を図3に説明します。

  1. 部品のソリッド形状から薄板構造部分のみから中立面を抽出してサーフェスモデルを作成します。
  2. 薄板部分のうちビードを配置して剛性を高める領域を指定します。
  3. 薄板部分はシェル要素でメッシュ分割します。ソリッド形状を含む場合はソリッド要素とシェル要素が混在したハイブリッドモデルになります。
  4. 最適化解析条件を設定します
    制約条件:ビード幅、ビード最大高さ
    目的関数:剛性の最大化
    上記条件で解析した結果を図4に示します。ビードコンターで示すビードの配置により最適化前後で最大応力20%減、最大変位15%減の効果が得られる結果となります。

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おわりに

構造最適化解析シリーズの4つのコラムについてまとめますと、設計開発の目的に応じて構造最適化の各手法を選択することにより最適な設計案を生み出し、またその設計案を短期間で実物に成形できる3Dプリンターの活用を組み合わせることにより製品開発期間のさらなる短縮を図れるものと考えます。
3Dプリンターおよび構造最適化テクニックにご興味をお持ちの方はぜひ弊社へお問い合わせください。

コラム「構造最適化解析で3Dプリンタ造形革新」一覧

著者情報

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株式会社ファソテック 技術顧問 CAEコンサルタント 藤田俊之

1974年 名古屋工業大学 機械工学科を卒業、川崎重工業に入社。10年間、化学プラントの耐震設計および航空機の強度・振動解析などの構造解析、さらに宇宙機器の開発に従事。
1984年 日本アイ・ビー・エム入社。26年間にわたりCAEDS(I-DEASの別名)、CATIAアナリシスおよびSIMULIAなどのCAEツールを担当するSEおよびテクニカルセールスを歴任し、一貫してCAE技術畑を歩む。
その後ダッソー・システムズを経て、2012年よりCAE推進をライフワークとするコンサルタントとしてファソテックに在籍し、現在に至る。

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